メディケアコラム

すべてのダイエットに共通するリバウンドの原因とは?

「1カ月で10キロやせられる!」
「1週間で3キロの脂肪燃焼!」
といったダイエット広告をよく見かけます。

こうしたダイエットでは、確かに短期間で結果が出る場合もあるのかもしれません。
すっかりスリムになった体験者のビフォー&アフターの写真には説得力もあります。

ただ、結果を出せた人の多くが、「すぐに」あるいは「数カ月で」リバウンドしているであろうことは、想像に難くありません。
理由は
「運動によるエネルギー消費でやせていたのに、運動をやめてしまった」
「食事制限をやめた途端、戻ってしまった」
など、ダイエット方法によっていろいろです。

ただし、どのダイエットにも共通する、リバウンドの原因は一つではないかと、私は考えています。それは、「体重の変化を体がしっかり覚えていない」というもの。

だから、一時的に体重を減らすことができたとしても、長続きはしないのです。
のちほど詳しく説明しますが、急激に減った体重は、見せかけの体重に過ぎません。
私たちはこれを「表面体重」と呼んでいます。
見せかけですから、すぐに元に戻ってしまいます。

例えば、1日か2日断食をしたことがある方は、こんな経験をしたことがないでしょうか?

一時的に体重は落ちたが、いつもの生活に戻った途端、すぐに体重が戻ってしまった。
あるいは、夏場にお腹をこわして一時的に食欲がなくなってやせたが、体調が回復した途端、元の体重になった。

これらは、体重の管理をしている脳や体のシステムが、体重の減少に追いついていかず、元に戻ろうとするからです。
このシステムのため、やせるためのノウハウを身に付けずに急激にやせようとすると、必ずと言っていいほどリバウンドするのです。


「体重の変化を体がしっかり覚えていないからリバウンドする」と言いましたが、これについて、医学的な解明はされていないようです。一般的にしばしば言われているのは、人間に備わっている「ホメオスタシス」によるのではないかということです。
ホメオスタシスとは、「恒常性」ともいい、心や体を安定した状態に保とうとする働きのことです。
 
例えば、高熱が出ると、脳は「このままでは、まずい」と察知して、自分で意識しなくても、どんどん汗を流して、熱を発散し、体温を平温に戻そうとします。
食後は血糖値が上昇しますが、それに応じて、血糖値を減少させるホルモンであるインスリンをすい臓から分泌して、血糖値を調節します。
 
寒い日は身震いして体温を上げようとしますし、転んで膝を擦りむけば、かさぶたをつくって、傷を治そうとします。意識しなくても、体が自然に環境に対応しているのです。
人間には、いわば体の危機管理機能が備わっており、本能的に生命を守ろうとしているのです。
とてもありがたい機能です
 
体温や血糖値の調整などに加え、食事からのエネルギーの吸収や運動の際のエネルギーの消費についても、ホメオスタシスが関連しているといわれています。
食事があまり取れなくて体重が減ってくると、「あれ? おかしいぞ」と察知して、食事からのエネルギー吸収率を高めて、逆に運動の際のエネルギー消費を抑えます。

体重が減りすぎると生命に危険が及ぶので、何とか一定を保とうとするのです。

ですから、ダイエットのために、急に食事を減らして体重が減ると、体は本人の意思にかかわらず、少ない食事からでもエネルギーを多く取ろうとし、運動してもエネルギーをできるだけ使わないようにします。
 
ダイエットしていると、ある程度体重が減ってきたところで、それ以上になかなか減らなくなるときがあります。以前だったら体重に影響のない量の食事でも、逆に体重が増えてしまったり……。

これらは、ホメオスタシスのためだといわれています。
ホメオスタシスは、体にとって本来不可欠ですが、ダイエット中の人にとっては、少し煩わしい仕組みかもしれません。


※この記事は、メディケアダイエット代表岡田眞の著書「太らない体質は食事がつくる」
 (2014年)をWebにて転載したものです。

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