メディケアコラム
【管理栄養士監修】脂肪燃焼の仕組みと方法を解説。体脂肪をみるみる溶かす3原則とは?
ダイエット成功の鍵を握る「脂肪燃焼」ですが、正しくメカニズムを理解できている人は少ないのではないでしょうか。仕組みを理解することで、より効果的なダイエット方法を選択できるようになります。今回は、当院の管理栄養士監修のもと、脂肪燃焼の仕組みと方法を、体脂肪の種類から紐解いて紹介します。
「脂肪燃焼」を理解する上で欠かせないのが、脂肪(脂肪細胞)の種類を理解することです。実は体脂肪には、肥満の原因になるものとならないものがあります。
脂肪を蓄積する先は、白色脂肪細胞の中にある「脂肪滴」という袋です。脂肪滴は脂質をエネルギーとして蓄えることで、非常時に備える役割を担っています。また、白色脂肪細胞は体温を一定に調節したり、内臓を正しい位置に保ったり、肥満を抑制する「レプチン」というホルモンも分泌します。決して悪い細胞ではなく、体に不可欠な機能を備えているのです。
乳幼児期や思春期、そして妊娠期には一気に増えるため、太りやすくなります。しかし、それも体内にエネルギーを貯蔵する必要があるからです。
褐色脂肪細胞が存在するのは、首回りと肩甲骨、腎臓、胸部大動脈の周辺。「言われてみれば、その辺は太りづらいかも…」とピンとくる方も多いでしょう。
そんなダイエットの味方である褐色脂肪細胞ですが、成長期に入ると減少します。成人を迎える頃には、残念ながら生まれた当時の4割程度しか残りません。なぜなら、筋肉量の少ない幼児期は脂肪を燃やして体温を保つのに対し、成人は骨格筋を燃焼するから。褐色脂肪細胞の必要性は薄くなり、一部を残して減少するのです。
逆に褐色脂肪細胞を活性化するには、寒さや冷たさを与えることが必要だと言われています。とはいえ、あえて寒さに身をさらし、体温を下げてしまうのは健康上NG。おすすめは水泳で、運動によって体温を維持しながら冷たさにも触れられます。温水プールではなく、18度以下の低温のプールを選んでください。
このように、一口に体脂肪といっても減らすべきもの、増やすべきものがあるのです。まずはこの前提を頭に入れておきましょう。
では、いよいよ脂肪燃焼のメカニズムについて迫っていきます。
先ほども説明した通り、私たちが「体脂肪」と捉えているのは「白色脂肪細胞」。そして、脂質をエネルギーとして蓄える白色脂肪細胞は、いわば“エネルギーの貯蔵庫”です。「脂肪燃焼」とは、この貯蔵庫からエネルギーを使用し、白色脂肪細胞を減らすことを指しています。
ただし、燃焼が完了するまでには、2つのステップを踏まないといけません。
そのために不可欠なのが、「リパーゼ」という酵素の活性化。リパーゼが働きかけると、中性脂肪は遊離脂肪酸と「グリセロール」に分解されます。このリパーゼは、運動時や血糖値の低下時、交感神経が活発化した時などに盛んに活動します。
こうして中性脂肪を分解することで、燃焼のための準備が出来上がるわけです。
消費の鍵を握るのは、運動です。遊離脂肪酸は運動時に筋肉へと運ばれます。そして、脂質をエネルギーに変換する「ミトコンドリア」という器官で消費されるのです。さらには運動中に限らず、呼吸や心臓の鼓動など、生命活動にもエネルギーは使われます。
脂肪燃焼と聞くと、熱によって脂肪を溶かすイメージですが、実際のところは違うわけです。「脂肪燃焼」とは、中性脂肪を分解し、エネルギーとして消費する一連のメカニズムを指しています。そのため、サウナや岩盤浴などでたっぷり汗をかいても、脂肪は分解されるだけで燃焼されないのでご注意ください。
さて、脂肪燃焼の仕組みはわかりましたが、具体的にどうやって実践したら良いのでしょうか。基本となる方法は3つです。
有酸素運動を行う時間は、20分以上を目安にしましょう。有酸素運動は、最初は糖質を中心にエネルギーを生成しますが、20分以上行うと中性脂肪の使用が盛んになります。いわば“脂肪燃焼のゴールデンタイム”に突入するわけです。
ちなみに、以前は「20分以上連続して運動すること」が大切と考えられていましたが、今は別。「1日合計20分以上運動する」という形でも、効果は変わらないことがわかっています。
同様に、以前は激しい運動を続ける「アフターバーン」が推奨されていましたが、最近は逆に脂肪を燃焼しづらくなるという研究結果も。ギリギリ会話できる程度の早歩きなど、激しすぎない有酸素運動を行いましょう。おすすめは心拍数を測ること。目安は「138-(年齢÷2)」で、たとえば、30歳の人なら123の心拍数を目指してください。
血糖値が上昇すると、すい臓から「インシュリン」という物質が分泌されます。インシュリンは、血中の糖質をブドウ糖へと変換し、エネルギーとして消費させる働きを持っています。そのため、インシュリン過剰の状態になると、体脂肪を消費する優先順位が下がってしまうのです。そもそも消費しきれなかった糖質は脂肪へと蓄積されるので、血糖値の急上昇は肥満の原因にもなりかねません。
では、どうしたら血糖値の急上昇を防げるのでしょうか。すぐに実践できる方法は、いわゆる“早食い”を避けたり、血糖値の上がりやすい炭水化物を最後に食べたりすること。また、血糖値の上がりやすさの指標である「GI値」の低い食品を選びましょう。
このようにインシュリンのバランスを整えることで、運動によるエネルギー消費を効率化できるのです。
闇雲に食事制限するのではなく、正しくダイエットするために理解したい、脂肪燃焼のメカニズム。しっかりと把握した上で、効果的なダイエット方法を選びましょう。
まずは脂肪の種類を理解しよう
「脂肪燃焼」を理解する上で欠かせないのが、脂肪(脂肪細胞)の種類を理解することです。実は体脂肪には、肥満の原因になるものとならないものがあります。
1. 白色脂肪細胞
一般的に「体脂肪」と呼ばれるのは、「白色脂肪細胞」です。白色脂肪細胞は、体内でエネルギーに変換しきれなかった糖質や脂質を、中性脂肪として貯め込みます。いわゆる皮下脂肪や内臓脂肪の原因は、この白色脂肪細胞が皮下や内臓付近に多いからです。脂肪を蓄積する先は、白色脂肪細胞の中にある「脂肪滴」という袋です。脂肪滴は脂質をエネルギーとして蓄えることで、非常時に備える役割を担っています。また、白色脂肪細胞は体温を一定に調節したり、内臓を正しい位置に保ったり、肥満を抑制する「レプチン」というホルモンも分泌します。決して悪い細胞ではなく、体に不可欠な機能を備えているのです。
乳幼児期や思春期、そして妊娠期には一気に増えるため、太りやすくなります。しかし、それも体内にエネルギーを貯蔵する必要があるからです。
2. 褐色脂肪細胞
逆に肥満の原因にならないのが「褐色脂肪細胞」です。そればかりか、脂肪を減らし、エネルギーとして変換する機能さえ持っています。褐色脂肪細胞が存在するのは、首回りと肩甲骨、腎臓、胸部大動脈の周辺。「言われてみれば、その辺は太りづらいかも…」とピンとくる方も多いでしょう。
そんなダイエットの味方である褐色脂肪細胞ですが、成長期に入ると減少します。成人を迎える頃には、残念ながら生まれた当時の4割程度しか残りません。なぜなら、筋肉量の少ない幼児期は脂肪を燃やして体温を保つのに対し、成人は骨格筋を燃焼するから。褐色脂肪細胞の必要性は薄くなり、一部を残して減少するのです。
逆に褐色脂肪細胞を活性化するには、寒さや冷たさを与えることが必要だと言われています。とはいえ、あえて寒さに身をさらし、体温を下げてしまうのは健康上NG。おすすめは水泳で、運動によって体温を維持しながら冷たさにも触れられます。温水プールではなく、18度以下の低温のプールを選んでください。
このように、一口に体脂肪といっても減らすべきもの、増やすべきものがあるのです。まずはこの前提を頭に入れておきましょう。
脂肪燃焼の仕組みは? 2ステップのメカニズム
では、いよいよ脂肪燃焼のメカニズムについて迫っていきます。
先ほども説明した通り、私たちが「体脂肪」と捉えているのは「白色脂肪細胞」。そして、脂質をエネルギーとして蓄える白色脂肪細胞は、いわば“エネルギーの貯蔵庫”です。「脂肪燃焼」とは、この貯蔵庫からエネルギーを使用し、白色脂肪細胞を減らすことを指しています。
ただし、燃焼が完了するまでには、2つのステップを踏まないといけません。
1. まずは中性脂肪を分解する
固形物となった中性脂肪は、そのままではエネルギーとして使えません。まずは「遊離脂肪酸」という形に分解する必要があります。そのために不可欠なのが、「リパーゼ」という酵素の活性化。リパーゼが働きかけると、中性脂肪は遊離脂肪酸と「グリセロール」に分解されます。このリパーゼは、運動時や血糖値の低下時、交感神経が活発化した時などに盛んに活動します。
こうして中性脂肪を分解することで、燃焼のための準備が出来上がるわけです。
2. 遊離脂肪酸を消費し、燃焼する
せっかく分解した遊離脂肪酸ですが、消費しきれないと肝臓に送られ、再び中性脂肪へと作り直されてしまいます。そのため、分解した後にしっかりと消費することが大切です。消費の鍵を握るのは、運動です。遊離脂肪酸は運動時に筋肉へと運ばれます。そして、脂質をエネルギーに変換する「ミトコンドリア」という器官で消費されるのです。さらには運動中に限らず、呼吸や心臓の鼓動など、生命活動にもエネルギーは使われます。
脂肪燃焼と聞くと、熱によって脂肪を溶かすイメージですが、実際のところは違うわけです。「脂肪燃焼」とは、中性脂肪を分解し、エネルギーとして消費する一連のメカニズムを指しています。そのため、サウナや岩盤浴などでたっぷり汗をかいても、脂肪は分解されるだけで燃焼されないのでご注意ください。
脂肪燃焼の方法は? 運動、食事、代謝アップの3原則
さて、脂肪燃焼の仕組みはわかりましたが、具体的にどうやって実践したら良いのでしょうか。基本となる方法は3つです。
1. 激しすぎない20分以上の有酸素運動
脂肪燃焼のために有効なのは、有酸素運動です。有酸素運動とは、酸素を体内に取り込みながら長時間続けられる運動のこと。ポピュラーなのは水泳やジョギング、ウォーキングなどでしょうか。有酸素運動を行う時間は、20分以上を目安にしましょう。有酸素運動は、最初は糖質を中心にエネルギーを生成しますが、20分以上行うと中性脂肪の使用が盛んになります。いわば“脂肪燃焼のゴールデンタイム”に突入するわけです。
ちなみに、以前は「20分以上連続して運動すること」が大切と考えられていましたが、今は別。「1日合計20分以上運動する」という形でも、効果は変わらないことがわかっています。
同様に、以前は激しい運動を続ける「アフターバーン」が推奨されていましたが、最近は逆に脂肪を燃焼しづらくなるという研究結果も。ギリギリ会話できる程度の早歩きなど、激しすぎない有酸素運動を行いましょう。おすすめは心拍数を測ること。目安は「138-(年齢÷2)」で、たとえば、30歳の人なら123の心拍数を目指してください。
2. 血糖値の急上昇しない食事を摂る
運動による脂肪燃焼効果を高めたいなら、食事に気を配るのも重要です。ポイントは、血糖値の急上昇する食事を控えること。血糖値が上昇すると、すい臓から「インシュリン」という物質が分泌されます。インシュリンは、血中の糖質をブドウ糖へと変換し、エネルギーとして消費させる働きを持っています。そのため、インシュリン過剰の状態になると、体脂肪を消費する優先順位が下がってしまうのです。そもそも消費しきれなかった糖質は脂肪へと蓄積されるので、血糖値の急上昇は肥満の原因にもなりかねません。
では、どうしたら血糖値の急上昇を防げるのでしょうか。すぐに実践できる方法は、いわゆる“早食い”を避けたり、血糖値の上がりやすい炭水化物を最後に食べたりすること。また、血糖値の上がりやすさの指標である「GI値」の低い食品を選びましょう。
このようにインシュリンのバランスを整えることで、運動によるエネルギー消費を効率化できるのです。
3. 基礎代謝を向上させる
また、基礎代謝を向上させることも効果的です。基礎代謝とは、呼吸や内臓の活動、体温の維持など、安静にしているだけでも消費されるエネルギーのこと。1日の消費カロリーの6〜7割を占めると言われており、有酸素運動と同様に大切です。筋トレによって筋肉量を増やし、基礎代謝をアップしましょう。脂肪燃焼のメカニズムを理解して、正しいダイエット方法を選択しよう
闇雲に食事制限するのではなく、正しくダイエットするために理解したい、脂肪燃焼のメカニズム。しっかりと把握した上で、効果的なダイエット方法を選びましょう。