人生には悩みがつきものです。長い夏休みを過ごしていた人々にとって,9月から学校や仕事が再開となり,うつ状態になる傾向も高まります。悩みをアルコールで解決しようとしているかたも少なくありません。しかしながら,それらは逃避でしかありません。自らを見つめ直し,適応していこうとするかたに有効な心理療法をご紹介しましょう。
それは,「内観療法」です。身近な人々との過去を再体験し,自分のルーツを知ることで適応を図ろうとする治療法です。
内観療法は,吉本伊信により,浄土真宗の「見調べ」をもとにし,日本で開発された修養法なのですが,精神療法としての効用も認められ,現在では国際的にも評価を得てきています。
方法としては,自分の身近な母,父,夫,または妻,子,先生などに対する過去の関わりを,①世話になったこと,②して返したこと,③迷惑をかけたこと,の3つのテーマに沿った具体的事実として,繰り返しひたすら思い出していくというものです。この方法によって,自分や周囲の人々への理解が深まり,温かな気持ちになり,人間への信頼を回復し,自己の責任を自覚し,意欲的な行動ができるようになるとされています。
より具体的には,内観道場に1週間留まって実施する集中内観と,日常生活の中で,1人で行なう日常内観(記録内観)があります。集中内観では,外部からの刺激を遮断した薄暗く狭い,静かな屏風に囲まれた空間で,毎日朝6時から夜9時まで断続的に,上記3つのテーマに関わる具体的事実を,過去から現在まで3~5年刻みで思い出していきます。そして,それを1~2時間ごとに訪れる面接者に手短に報告し,面接者は報告内容に共感的に耳を傾け,次のテーマを確認し,しっかり内観するように激励して面接を終えます。全体で3~5分程度と短いものです。
心療内科では,「絶食療法」と同時に施行されることが多く,相乗効果が認められるとされています。絶食療法につきましては,次回のコラムでお話しします。
内観療法は適用できる範囲が幅広いのが特徴です。たとえば,一般人の人格の陶冶,修養,人生上の悩みの解決のほか,不登校や非行,摂食障害,親子や夫婦の不和,うつ状態,アルコールや薬物依存,心身症,神経症などに有効とされています。
早いもので,明日から9月に入ります。暦の上での季節は秋です。このように,季節の変わり目には,人生の悩みが浮かんできやすくなります。夏が始まる頃に立てた目標が達成できずに,くよくよとしてしまうこともあります。
体重や体型を気にしてダイエットを始めたものの,思うように結果がでなくて悩んでしまうことだってあるのです。そのようなとき,じっくりと内観しながら手厚いサポートも受けられる環境に変えてみませんか? メディケアでは
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