あなたは,対人関係は得意ですか?
それとも,苦手なほうですか? このように訊かれると,「どちらかといえば苦手」と答える人のほうが多いことが,日本人の傾向としてデータがとれています。対人関係はストレスだと答える人も多く,社会問題にもなっています。心の病を抱える人にとっては,対人関係はしばしば困難なものとして頷いてもらえるものです。
さて,今回は,対人関係ストレスを扱う有力な治療法として,「交流分析」をご紹介します。
交流分析とは,アメリカの精神科医E.バーンが開発した人間行動に関する理論体系とそれに基づく治療法であり,「互いに反応しあっている人々の間で行なわれている交流を分析すること」を目的としているため,このように呼ばれます。この方法は,心の構造や機能を記号や図式を使って解りやすく説明するところに1つの特徴があり,現実生活の中で,特に対人関係上の問題を解決するのに役立ちます。理論構成上は精神分析から出発している面も多いのですが,基本的な立場としては,無意識の存在を仮定せず,「今,ここで」を重視し,自己分析と集団療法を原則とするなど,精神分析に対する批判的な流れの1つである人間性心理学の中に位置づけられます。また,技法面からは精神分析よりも認知行動療法と共通するものが多いとされています。
交流分析は通常,以下の4つの分析を行ないます。構造分析は,パーソナリティの特徴を捉えることを目的にし,心の中に親(P),大人(A),子ども(C)の3つの自我状態があり,状況により,また,各個人によって優位となる自我状態が異なると考えて分析します。交流分析パターン分析は,2人の間のコミュニケーションの様子を,P・C・A間のベクトルで分析します。ゲーム分析は,悪循環に陥った対人関係パターンを分析する方法であり,交流分析の中核を成しています。脚本分析は,人が強迫的に従ってしまう人生の「脚本」の分析であり,この内容を知り,それを「今,ここで」書き換える決断をし,新しい人生を歩み出すことが,交流分析の最終的な目的とされます。
交流分析の適用範囲として,心身症,神経症,うつ病など対人関係ストレスがその発症や経過に関与する病態に対して広く用いられます。しかし,単独よりも薬物療法や他の個人療法と併用されることのほうが多いです。また,エゴグラムによる自己理解は,職場のメンタルヘルスなど,健常者の健康教育にも広く適用されています。
健康教育にも適用されている交流分析。内容さえきちんと理解してしまえば,心因的な問題でダイエット停滞期に入っているかたでも使えるのです。心理カウンセラーの所属するダイエット外来・肥満外来をお探しのかた,ぜひメディケアの
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