今回は,
前編に引き続き,「ダイエットと認知行動療法」の後編をお送りします。
前編の最後に,脳は単純だとお伝えしました。このことは真理なのです。脳とは,様々なことを判断する重要な場所ですが,これらの作業のとき,脳全体を使っているわけではありません。実は,ほんの一部分しか使ってはいないのです。そのような状態ならば,私たちが食欲をコントロールしようと考えたとき,脳にクセをつけてしまうことは,それほど難しいことではありません。しかも,1度クセをつけてしまえば脳は記憶してくれるのです。
さて,脳とストレスの関係性から「認知」を考えていきましょう。
私たちは,自分たちが置かれている状況を,休むことなく主観的に判断し続けています。通常は問題なく,その判断が行なわれています。しかし,強いストレスを受けているときや,うつ状態に陥っているときなどの特別な状況下では,認知に歪みが生じてきます。その結果,抑うつ感や不安感が強まってゆき,非適応的な行動が強まってきます。さらに,ここで,認知の歪みが引き起こされるようになってくるのです。
悲観的になりすぎず,かといって楽観的にもなりすぎず,現実的でしなやかな考え方をし,今現在の問題に対処していけるように手助けする心理療法こそが,「認知行動療法」です。この療法は,欧米では,うつ病だけでなく,パニック障害,社交不安障害,心的外傷後ストレス障害,強迫性障害などの不安障害,加えて,不眠症,摂食障害,統合失調症などの多くの精神疾患に効果があることが医学的心理学的に実証され,クリニックや病院で広く使用されています。
認知行動療法では,自動的に浮かんでくる気持ちが大きく動揺したり,現実がつらくなったりしたとき,患者さんの頭に浮かんでいた考えや内容にまずは目を向けます。それが,どのくらい現実と食い違っているかを検証しつつ,思考のバランスをとっていきます。それらによって,問題解決を助けるようにしていくのです。しかしながら,こうした心理療法が効果を上げるためには,面談場所ではもちろんのこと,ご自宅でも出来る限り挑戦してもらい,日常生活のなかで,いかにひとりででも行なえるようになるかが重要な課題です。
ダイエットも同様です。「どうしても出来ない」「意志が弱い」「飽きっぽくて続かない」などと訴えて,ご来院されるかたが多くいらっしゃいます。そのようなとき,ひとりで悲観的に考え込まないでください。認知行動療法にこだわる必要もありません。一緒に寄り添って考えてくれる心理士や栄養士に相談しながら,あなたの一歩を踏み出してみることをお勧めします。
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