説明してきたように、おいしいものをたくさん食べると、本能は満たされます。
体重の増えやすい人は、食べるという本能の行為に対して、意識がブレーキをかけます。
「食べる=太る」ことを理屈として知っています。
また、潜在意識として、「太りたくない」という気持ちがあります。ですから、本能のままに食べることに抵抗があり、罪悪感を持っています。
これは人間だけに限ったことです。他の動物では、「太りたくないから、食べない」ということはありえません。野生の動物たちは、本能のままに食べ、お腹が満たされれば、食べるのをやめます。
人間のように「ケーキは別腹」というようなこともなく、空腹を感じないときは、食べ物に関心を持ちません。空腹のときは食べ、そうでなければ食べないので、肥満の動物もいないのです。
ただし、人間に飼われているペットには肥満があります。理由は、野生動物のように走り回ったりしないことによる運動不足。そして、ストレスによる食べ過ぎも原因の一つになっています。
本能のままに食べることに抵抗を感じるのは、人間の特徴とお話ししましたが、実はこのことによって、肥満はさらに深刻化してしまうのです。
本能は、満たそうと思って食を求めますが、意識が「食べてはいけない」と本能の働きを規制します。しかし、本能はそれを振り切って食べてしまいます。すると、意識が「食べてはいけないのに、食べてしまった」と罪悪感や嫌悪感を感じるようになります。
「自分は意志の弱いダメな人間だ」と責めてしまうのです。
すると、その嫌悪感がストレスになり、また食べてしまいます。
これが肥満のサイクルです。
【肥満のサイクル】
(本能で)食べる
↓
(意識が)食べてはいけないと思う
↓
(本能を満たすため)食べてしまう
↓
(意識が)食べてしまったことを責める
↓
ストレスになる
↓
ストレスに対処する神経伝達物質が減少する
↓
本能が満たされなくなる
↓
また食べる
意識が本能に圧力をかけ続けていると、本能はいくら食べても満たされなくなってしま
います。
※この記事は、メディケアダイエット代表岡田眞の著書「太らない体質は食事がつくる」
(2014年)をWebにて転載したものです。