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50代の肥満の原因は「女性ホルモン」「男性ホルモン」の変化にあり。きになるダイエットの方法は?
年齢を重ねるごとに増えていく肥満。そのピークとも言えるのが、50代の肥満です。特に女性の皆さんは、閉経や更年期障害のタイミングと重なって肥満者の数が一挙に増加。女性にとって50代は、最も肥満になりやすい期間になります。
一方で男性の50代も、40代に次いで肥満者の多い年代。体力の衰えも目に見えて進行し、ダイエットは一筋縄ではいかなくなります。このページでは、50代の男女の肥満になる原因、対処法、肥満外来での取り組みなどを解説します。
半数以上が肥満傾向というデータも。50代の肥満の現状
日本肥満学会の定める「BMI(ボディ・マス・インデックス)」。肥満外来では、この指標を使って肥満の度合いを測定します。18.5〜25なら標準体型、25〜30なら肥満1度、30〜40なら肥満2度、40以上なら肥満3度と診断され、BMIが上がるほど肥満もより深刻になります。
50代は男女ともに、肥満者の多い世代です。厚生労働省の発表した平成29年度の「国民健康・栄養調査」によると、50代の男性の31.7%、女性の22.2%は肥満者。特に女性は、更年期の影響を受け始める40代の17.4%からさらに上昇しています。シニアになってからの病気を避けるためにも、ここで肥満を解消しないといけません。
(厚生労働省 平成29年度「国民健康・栄養調査」より引用)
また、ドコモヘルスケアの調査によれば、50代の肥満はさらに深刻です。肥満者の割合は、50代の男性が54.4%で全世代の2位、女性が42.8%で全世代の1位。男女ともに、50代が肥満の一つのピークであることを示しています。
(ドコモヘルスケアより引用)
50代が肥満になる原因は?男女ともに関係していたホルモンバランスの変化
では、なぜ50代は肥満になりやすい年代なのでしょうか。原因は多岐に渡りますが、そこにはホルモンバランスの変化という問題が、男女ともに横たわっています。ここでは50代が肥満になる理由を説明しましょう。
・筋肉量の減少と、それに伴う基礎代謝ダウン
50代になると、若い頃と比べて筋肉量が大幅に落ちています。筋肉は30歳から急激に減少し、その“減り幅”は10年につき10%ほど。50代も後半を迎える頃には、ピーク時より30%も減っていることになるのです。事実、50代になって久々に運動をしようとして、満足に体が動かなかったり怪我をしたりするケースは多いです。
筋肉量が減れば、体の基礎代謝も低下します。基礎代謝とは、生命を保つために自然と消費されるエネルギーのこと。呼吸や体温の維持などが代表的ですが、その大部分を占めるのが筋肉の活動です。基礎代謝は1日の消費カロリーの8割ほどにも当たるので、基礎代謝が低下すれば当然、消費できなかった余分なカロリーが脂肪に変わってしまいます。
・閉経や更年期障害によるエストロゲンの低下
女性の場合、肥満になる大きな原因が閉経です。女性の体は閉経を迎えると、「エストロゲン」という女性ホルモンが低下します。エストロゲンは本来、妊娠や出産に備えるために作用し、脳や骨、血管、皮膚、粘膜などを健康に保ってくれるホルモンです。これが低下すると、太りやすい体質へと変わっていきます。
理由はさまざまですが、その一つがエストロゲンに含まれている「レプチン」という成分です。レプチンには食欲を抑制する働きがあり、これが減少すると食欲に歯止めが効きづらくなります。体に悪いとわかっていても間食したり、更年期のストレスも重なって暴飲暴食に走ったりしてしまうのです。
また、エストロゲンの減少によって「太り方」も変わります。エストロゲンは太ももやヒップなど、いわゆる女性らしい体になるような脂肪のつき方を促しますが、エストロゲンが減少して男性ホルモンの影響が出てくると、徐々にお腹周りへと脂肪がつきやすくなっていきます。内臓脂肪の増加傾向も強まり、メタボリックシンドロームのリスクが上昇します。
・男性ホルモンの低下
一方で男性は、40代の後半から50代にかけて、男性ホルモンが一気に下降します。これは60代と比べても、かなり急激な減少です。そして、近年の研究では、男性ホルモンの一つである「アンドロゲン」の低下が、内臓脂肪型肥満の一因になるとわかってきました。
なぜ50代は男性ホルモンが減少してしまうのか。その背景には、仕事や環境の変化があると言われています。そもそも男性ホルモンは競争や達成感によって増加する性質を持っていますが、50代になると仕事で管理職になったり日常が安定したりしてくるので、男性ホルモンも低下するのです。また、デスクワークが増えるとともに体を動かすシーンが減るので、運動不足になるのも要因の一つでしょう。
女性にとっての閉経のような「体の変化」という点では、筋肉量の減少も関係しています。男性ホルモンは筋肉量が多いほど分泌されるからです。50代になって太りやすくなった人は、徐々に運動の習慣をつけ、単に減量するだけでなく筋肉量を増やしていくことがダイエットへの近道になります。
肥満になるとどうなる? 50代の肥満リスク
すっかり体力も落ち、体のコンディション不良に悩まされる50代。30代や40代と比べても、肥満のリスクは高まってきます。実際にどんな危険性があるのでしょうか。
何より気をつけたいのは、40代から50代にかけて急増する生活習慣病。国民の1000万人が患っていることが疑われる糖尿病を始め、高血圧や高脂血症、さらには突然死の恐れもある脳梗塞や心疾患といった重篤な病気も、肥満によって引き起こされます。50代の場合、加齢による血管の衰えも手伝います。弱った血管が高血糖や高血圧によって負荷をかけられれば、動脈硬化の状態になりやすいからです。
さらに女性の場合、閉経後の肥満は乳がんのリスクを高めることもわかっています。がんと心疾患は、人間の死因として1位と2位に該当するもの。一見すると太っているだけに感じるかもしれない肥満ですが、悪化すると命を落とすことのある正真正銘の病気であることは、しっかりと認識しておくべきです。
その他、太った体を支えることで、足腰や膝、関節などを痛めるリスクも高まります。ただでさえ50代は骨や筋肉が衰えていくので、こうした体の痛みは顕著に現れる症状の一つでしょう。ダイエットに取り組む際もいきなり激しい運動はせず、軽いウォーキングや日頃の歩く量を増やすことから始めてください。
50代に必要なダイエット方法
そんな50代の肥満ですが、改善するにはどんな方法が有効なのでしょうか。体の衰えてくる年代ですので、自分の体と相談しながら、無理や我慢を極力抑えたダイエットに取り組まないといけません。
・食事は栄養バランスや酵素を摂ることも意識して
さまざまな健康上の問題を抱え、無理も利かなくなる50代。肥満の解消のみならず、病気の対策や体力のリカバリーのためにも食生活を改善しましょう。ただし、激しい食事制限や急激な糖質カット、単品ダイエットなどはくれぐれも控えてください。体への負担が大きく、むしろ体調を崩してしまいます。
食事の基本は糖質を控えめにしつつ、主食・主菜・副菜をしっかりと食べて、ビタミンやたんぱく質、脂質などの栄養素をバランスよく摂取すること。特に基礎代謝の低下をカバーするには、筋肉を維持するためのたんぱく質が大切です。肉や魚はもちろんのこと、脂質が多くなってしまう場合は、ヘルシーな豆腐や納豆から大豆タンパクを摂取しましょう。また、年齢に伴って減少する酵素を補うために、生野菜などを食べることも有効です。
・運動は負荷の少ないウォーキングから
筋肉量が低下し、基礎代謝の著しく落ちている50代には、筋肉を取り戻すための運動も不可欠です。特に大きな筋肉のある、下半身を動かすような運動をしましょう。とはいえ、こちらも食事と同様、激しいトレーニングやスポーツなどにいきなり挑戦しないように気をつけてください。骨や関節、筋肉を痛めたり、脱水症状になったりといった危険性があります。
いつもの移動を歩行に切り替えたり、10〜20分程度の軽いウォーキングを始めたりと、負荷の少ない運動から取り組むのがベターです。大股の急ぎ足でウォーキングするよりは、ゆっくりと長時間歩いてください。その方が、かかとを痛めるリスクもなく、実は合計の消費カロリーも多くなります。その他、水中ウォーキングやヨガ、ウォーキングマシンなど、負荷の少ない運動を無理のない範囲で始め、コツコツと継続していくことが大切です。
・ビール500ml=ごはん1杯分のカロリー。お酒の飲みすぎに注意
50代には晩酌好きな人も多いのではないでしょうか。あまり知られていませんが、実はお酒に含まれるカロリーは多いです。たとえば、500mlのビールまたは1合半の日本酒で、ごはん約1杯分。自宅で何本も缶を空けたり、居酒屋で何杯もビールを頼んだり人は、ごはんを何杯もおかわりしているのと同じ。お酒を飲む際にはカロリーの量を調整し、もちろん飲みすぎも控えましょう。
また、お酒をよく飲む人に見られるビール腹ですが、これは断酒することで多少は落ち着きます。これはカロリーの摂りすぎだけでなく、アルコールを過剰に摂取することで分泌される「コルチゾール」の影響もあるからです。2〜3週間ほどの断酒でお腹が引っ込む人もいるので、ぜひ試してみてください。
肥満外来で大切にしている「無理をしないこと」
さて、ここまで50代の肥満を解消する方法をお話ししてきましたが、何より大切なのは「無理をしないこと」です。過剰な食事制限をしたり、ジムに通って強度の高いトレーニングをしたりしても、かなりの確率で続きません。体力の落ちた50代の皆さんに必要なのは、現在の生活に沿った形でダイエットに取り組むことです。
たとえば、いきなりランチをすべてお弁当にするのは難しい人も多いと思います。私たちはそんなとき、患者さまの勤務先の近くにある通いやすい飲食店の中から、よりダイエットに向いているメニューを探していきます。飲み会に行くのを避けられないなら、居酒屋でのメニューの選び方、食べすぎを防ぐコツなどを指導します。
「それで痩せるの?」と思われるかもしれませんが、多くの人はしっかりと痩せます。そもそも肥満は、生活習慣の問題点が積もりに積もって起こるもの。それを取り除いてあげれば、体は自ずと本来の状態に戻るのです。また、無理なダイエットはストレスになるため、むしろ食欲を増進させたり、リバウンドの原因になったりします。
ダイエットのコツは、簡単な取り組みを続けること。ハードルの高いことは避けて、時には好きなものもしっかりと食べて脳を喜ばせながら、コツコツと継続しましょう。とはいえ、痩せるかわからない中で「ストレスフリーな取り組み」を続けるのは、逆に勇気も必要なもの。そんなときは、無理なく痩せるノウハウに精通した、私たち専門家にご相談ください。あなたに合った方法で、自然とやせていく道筋を考えさせていただきます。
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カテゴリ:
(メディケアダイエット東京)
2019年7月12日 21:00
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