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40代の男性の3人に1人が肥満に。肥満外来の専門家が「中年太り」の原因と対処法を解説
加齢とともに肥満傾向の人は増えていきます。特に40代の男性はボリュームゾーンで、いわゆる「中年太り」に悩まされている人は多いです。
働き盛りの男性が太ってしまう背景には、運動不足や食生活の乱れはもちろんのこと、基礎代謝の低下や仕事のストレスといったさまざまな原因が潜んでいます。このページでは、40代の男性が肥満になる原因から対処法、肥満外来での取り組みまで専門家の視点で解説します。
半数以上が肥満傾向というデータも。40代男性の肥満の現状
日本では、日本肥満学会の定める「BMI(ボディ・マス・インデックス)」という指標を用いて、肥満の度合いを測ります。18.5〜25が標準体型、25〜30が肥満1度、30〜40が肥満2度、40以上が肥満3度とされており、BMIが高いほど重度の肥満ということになります。
そして、40代の男性の約3人に1人は、肥満の傾向を抱えています。厚生労働省の発表した2016年の「国民健康・栄養調査」によると、40代の男性の34.6%がBMI25以上。これは男女の全年齢を合わせても、50代の男性の36.5%に次ぐ2位の数字です。
(厚生労働省 2016年「国民健康・栄養調査」より引用)
また、別のデータを参照すると、40代の男性は最も肥満傾向にあるという結果も出ています。たとえば、ドコモヘルスケアの調べによると、なんと57.2%もの人が「肥満」「やや肥満」のいずれかに該当。半数以上の人が適正体重を超えているとわかります。
(ドコモヘルスケアより引用)
実際に当クリニックにいらっしゃる患者さまも、約25%が40代。
ここ10年の推移を見ても、肥満者の割合は横ばいまたは増加傾向を記録しています。また、男性だけでなく女性の肥満者も30代から50代にかけて増えており、肥満は中年層に共通する健康の課題になっています。
40代の男性が肥満になる原因は? 中年太りを引き起こす4大因子
このように40代の男性の多くを悩まされている中年太りですが、その原因はどこにあるのでしょうか。ほとんどの人は「運動不足」や「食生活の乱れ」を想像すると思いますが、原因はそれだけではありません。
あるデータによれば、男性の歩行量は40代から60代にかけて増えています。それでも太っているのは、肥満は外的要因だけではなく内的要因によっても引き起こされるから。つまり、体の仕組みが変化しているのです。「若い頃と同じ生活をしているのに太りやすくなった」という感覚は、錯覚ではありません。
・筋肉量の低下による基礎代謝ダウン
中年太りの大きな原因は、加齢に伴う筋肉量の低下です。特に問題なのが、筋肉の約70%を占めると言われる骨格筋の著しい減少。血中の糖質の約70%は骨格筋に取り込まれます。これが少なくなると糖質は行き場をなくし、余った分が脂肪へと変換されてしまいます。
20歳前後だと体重の約40%は筋肉ですが、30歳を超えると急速に落ちていき、10年で約10%ずつ減っていきます。つまり、20代を100%として仮定すると、40代は80%に落ちる計算です。この背景には、運動不足だけでなく体のバイオリズムの変化も関係していると言われています。
筋肉の量が少なくなると、体内の基礎代謝も低下します。基礎代謝とは、簡単に言うと生命維持のために消費されるエネルギーのこと。代表的なのは、呼吸や内臓の活動、体温の維持などですね。脳や肝臓での消費量が多いなか、最もエネルギーを必要するのが筋肉です。
その他、骨や皮膚の新陳代謝も鈍り、基礎代謝は総合的に落ちていきます。ピークは15〜17歳で、40代男性の消費量は1500カロリーほど。ここで余ったカロリーは脂肪へと変換され、肥満の原因になるのです。
・加齢に伴う運動不足
もちろん、運動不足も肥満の大きな原因です。言うまでもありませんが、食事で摂取したカロリーを十分に消費できなくなります。また、筋肉も維持できなくなるので、基礎代謝の低下に歯止めが効かなくなってしまいます。
運動不足は全世代に共通する課題ですが、やはり加齢に伴って深刻化していくと言われています。60歳以上になると運動の習慣のある人も増えますが、それまでは国民の大半が運動不足なのが現状です。
文部科学省の「国民健康・栄養調査」によると、その最大の理由は「時間がないから」。働き盛りの40代の男性は、特にこの傾向が顕著です。部下もでき、夜遅くまで仕事に追われ、休日はリカバリーに終始してしまう。そんな人も多いのではないでしょうか。
また、運動不足を解消しただけではダイエットは成功しません。3年間運動を続けた肥満者のうち、標準体型に戻ったのは4分の1程度というデータもあります。このように、運動だけでは効果を得づらいことも運動不足に拍車をかけている一因かもしれません。
・脂肪中心になりがちな食生活
肥満を引き起こす最大の因子が、食生活であることはご存知の通りです。なかでも40代の男性によく見られるのが、摂取カロリーに対して脂質の割合が多いケース。実は摂取カロリー自体は、年齢を重ねるごとに減少していく傾向にあります。問題は脂質の割合が多かったり、栄養バランスが悪かったりすることです。
多忙な毎日を過ごしていると、食事もラーメンや丼ものといったシンプルなもので済ませがち。結果的にこってりとしたメニューばかり増えてしまいます。また、お子さんと食事を共にする女性と違って、男性は家族と食事をするタイミングが限られているのも一因でしょう。
また、男性は女性に比べて、食事の摂り方に関する正しい知識を知りません。実際に当クリニックの患者さまを見ていても、就寝前のドカ食いや食後の晩酌などは、男性ほど強く見られる傾向です。
・ストレスは脳の判断を狂わせる
ストレスは肥満の大敵です。ストレス発散のための食べすぎ・飲みすぎを引き起こすため、同僚と居酒屋に行く回数も増えていきます。
また、ストレスは脳を疲弊させ、満腹中枢や自律神経を乱してしまう側面もあります。これにより脳から過食や偏食の指令が出ているような状態になってしまうのです。事実、疲れている人ほど油物や市販のお弁当を口にしているというデータもあります。
そして、40代の男性は非常にストレスを感じやすい年代です。仕事では責任のある立場になり、社内の大きなプロジェクトを任されることも増えます。それでいて家庭もあり、日常は多忙を極めるでしょう。息抜きの時間を確保することもままなりません。
厚生労働省の平成20年度の調べによると、最近1ヶ月でストレスを感じたことが「大いにある」と答えたのは40代がトップ。この世代の肥満を解消するなら、ストレスに目を向けることは不可欠なのです。
肥満になるとどうなる? 40代の男性の肥満リスク
では、40代の男性の肥満はどんなリスクを抱えているのでしょうか。なんとなく体に悪いことは知っていても、その危険性を具体的に理解している人は多くないと思います。しかし、肥満は放置していると命を脅かしたり、脳の機能を衰えさせたりする可能性もある、れっきとした病気です。
最も気をつけたいのが、糖尿病や高血圧、高脂血症を筆頭とした生活習慣病でしょう。これらの病気は初期症状が見られず、気づいたら深刻に悪化していることも少なくありません。また、血管に負担をかける病気も多いため、血管を硬くする動脈硬化を引き起こしやすく、脳梗塞や心筋梗塞といった死に直結する疾患の原因にもなり得ます。
さらに最近の研究では、40代の肥満は認知症のリスクを高めることも判明しています。オックスフォード大学が1999〜2011年にかけて行った研究では、認知症を発症するリスクは、30代で肥満だった人はそうでない人の3.5倍、40代は1.7倍、50代は1.5倍だったそうです。肥満を引き起こしている生活習慣そのものに問題がある可能性も指摘されています。
その他、骨や筋肉の衰えも重なって、太った体を支える膝や腰、関節を痛めることも増えるでしょう。自由に動けなくなれば、限られた運動しかできず、ダイエットの効率はどんどん落ちていきます。負のスパイラルに入る前に、しっかりと肥満を解消することが大切です。
あなたは大丈夫? 基礎代謝チェック
前述の通り、中年太りの大きな原因の一つが「基礎代謝の低下」です。ということで、以下に基礎代謝が下がっていないかを確かめるチェックリストを用意しました。40代の男性でお腹まわりが気になってきた人は、トライしてみましょう。
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日中の体温が低い
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冷え性だ
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運動不足がちだ
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あまり汗をかかない
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朝食はほとんど摂らない
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ダイエットとリバウンドを繰り返している
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体重が増えると落ちづらくなかった
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以前と食生活は変わっていないのに太った
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お肉などたんぱく質をあまり摂取していない
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ときどき貧血になる
多く当てはまった人ほど基礎代謝が低下している可能性が高いです。特に7つ以上該当した人は太りやすい体になっているので、ダイエットや肥満外来の受診をご検討ください。
40代の男性に必要なダイエット方法
では、40代の男性の肥満を解消するには、どんなアプローチが必要なのでしょうか。人それぞれ体質や原因は異なるので、一概には言えません。とはいえ傾向は存在するため、ここでは一般的に有効なダイエット方法を紹介します。
・規則正しい食生活
基礎代謝がグッと落ち、同じ生活をしていても太りやすくなる40代。食生活の問題点がダイレクトに反映されるので、規則正しい食生活は欠かせません。食事の中身はもちろんのこと、食事の時間帯や順番など、これまで続けてきた不規則な食生活を抜本的に改善することが必要です。
たとえば、夜はカロリーを消費することが少ないので、夕食の量は控えめに。また、脂肪をエネルギーに変換する「インシュリン」ですが、夜は「インシュリン抵抗性」が上がって活動を阻害されやすくなるため、夕食は20時までに済ませられると望ましいです。
ただし、「それなら夕食を抜いてしまおう」はNG。人は空腹になると体内にエネルギーを溜め込もうとするため、むしろ太りやすくなります。
▼ダイエット中の食事の時間については
https://www.reborn.co.jp/column/entry/post-214/
・たんぱく質や野菜をしっかりと摂取する
言うまでもありませんが、食事の内容も非常に重要です。特に多忙な40代の男性は、菓子パンや丼もの、麺類といった単品の食事で済ませがち。しっかりと主食と主菜、副菜の揃った食事を心がけましょう。
野菜を摂取するのはもちろんのこと、ごはんの量の目安としては、1日にごはん3杯まで。仕事のリフレッシュなどにおやつを食べる人も、なるべく代わりに果物を食べてください。
筋肉を維持して基礎代謝を保つためには、たんぱく質の摂取も不可欠です。肉と魚をそれぞれ100gほど食べられたらベスト。脂肪分を気にする場合、大豆タンパクを含む豆腐や納豆、枝豆などを取り入れるのも良いでしょう。
・ビール500ml=ごはん1杯分のカロリー。お酒の飲みすぎに注意
また、お酒を飲む人はカロリーの量を調整しましょう。飲み物なので太らないと思っている人もいるかもしれませんが、お酒の原料はお米。たとえば、500mlのビールまたは1合半の日本酒で、ごはん1杯分にも匹敵するカロリーを摂取することになります。
つまり、1日に缶ビールを何本も空けてしまう人は、ごはんを何杯も食べているのと変わりません。くれぐれも飲みすぎには気をつけましょう。晩酌する日を決めるなど、一定のルールを設定するのも一つの手です。
ちなみに、お酒好きの人によく見られるビール腹ですが、これはカロリーを摂りすぎて太っているだけではありません。アルコールを過剰に摂取すると、副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌され、内臓脂肪の蓄積を促進してしまいます。ビール腹は、断酒すれば2〜3週間ほどで引っ込むので、試してみてください。
・「歩く習慣」をつける
40代の男性は、現場での仕事から管理職に変わり、デスクワークも増えてきます。前述のデータでは、年齢が上がるほど歩行の量も増えていますが、意識的に運動をしていない人は著しい運動不足に陥っているケースも多いはず。患者さまでも同様のタイプはよく見られます。
基礎代謝を維持し、カロリーを効率よく消費するためには、運動不足の解消は大切です。筋肉量の多い足腰を中心に、筋肉にしっかりと負荷をかける運動も必要ですが、いきなりハードなトレーニングは長続きしません。まずはいつもの移動やエスカレーターに頼っていた場面で、歩く習慣をつけてください。
いちどの歩行で消費できるカロリーはわずかです。しかし、ダイエットは中長期的な視野で考えるのが大事。この習慣を1ヶ月、2ヶ月と続けていけば、毎月の消費カロリーはガラリと変わります。すぐに結果を求めず、あらゆるシーンでカロリー消費を高め、それを足し算するイメージで考えましょう。
肥満外来で大切にしている「無理をしないこと」
さて、ここまで40代の男性の肥満を解消する方法をお話ししてきましたが、何より大切なのは「無理をしないこと」です。過剰な食事制限をしたり、ジムに通って強度の高いトレーニングをしたりしても、かなりの確率で続きません。多忙な40代の男性の皆さんに必要なのは、現在の生活に沿った形でダイエットに取り組むことです。
たとえば、いきなりランチをすべてお弁当にするのは難しい人も多いと思います。私たちはそんなとき、患者さまの勤務先の近くにある通いやすい飲食店の中から、よりダイエットに向いているメニューを探していきます。飲み会に行くのを避けられないなら、居酒屋でのメニューの選び方、食べすぎを防ぐコツなどを指導します。
「それで痩せるの?」と思われるかもしれませんが、多くの人はしっかりと痩せます。そもそも肥満は、生活習慣の問題点が積もりに積もって起こるもの。それを取り除いてあげれば、体は自ずと本来の状態に戻るのです。また、無理なダイエットはストレスになるため、むしろ食欲を増進させたり、リバウンドの原因になったりします。
ダイエットのコツは、簡単な取り組みを続けること。ハードルの高いことは避けて、時には好きなものもしっかりと食べて脳を喜ばせながら、コツコツと継続しましょう。とはいえ、痩せるかわからない中で「ストレスフリーな取り組み」を続けるのは、逆に勇気も必要なもの。そんなときは、無理なく痩せるノウハウに精通した、私たち専門家にご相談ください。あなたに合った方法で、自然とやせていく道筋を考えさせていただきます。
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カテゴリ:
(メディケアダイエット東京)
2019年7月11日 22:30
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